about RIDE to WHERE

自転車で巡るシティガイド

18才で故郷北陸の町を出て名古屋で生活を始めた時、雪が降らないのはともかく全然雨が降らないのにまずびっくりした。そのうえ道がとにかく広くて、自転車があればどこでも行けるじゃん、とアパートのゴミ捨て場にあったシティサイクルを治して専門学校への通学からバイトへの移動、だけじゃなく時間があればいろんなところへ行った。

名古屋の人にどこかお勧めの場所を聞いても出てくるのは大抵名の知れた繁華街ばかり。誰も丸山神社の朝市のことや芸術文化センターの視聴覚室のこと、旧東海道はどこかなんてことは教えてくれないので自分で色々回らなくてはいけなかった。

最近のある統計で最も魅力のない街と言われた名古屋。ここが好きで住んでいる自分のような人間には何も響かないけど、自分の街に誇りを持てない人たちは躍起になって挽回しようとしている。

そんな人たちを横目にますます住みやすくなっていると感じている。それは従来の商売の形や場所、移動手段やライフスタイルに早々に見切りをつけた人たちが今、市内も県外も問わずいろんなところに居場所を見つけ、それぞれに新しいローカルを形成しているから。

このRide to Whereは決して積極的に推奨されているとは言えないモビリティ=”自転車”に乗ってそれらのローカルをつなげていく試み。電車ではたどり着けず、歩きでは時間がかかりすぎて、クルマからは見えない、街の姿を見に行く冒険。

自転車は街めぐりの永久機関。一度走り出せば歩くより早くて、走れば走るほど元気になる乗り物。駐車場なんていらないし助手席で携帯ばかり見てるやつもいない。ただし雨の日と雑な運転をするクルマに気をつけて。

*各記事は名古屋の自転車好きが中心となって取材,撮影,執筆を行っています。