大音量のジャズと満腹メニュー、そして自転車。大衆文化が詰まった名古屋が誇るジャズ喫茶
トリオやカルテット、クインテットなど小編成のコンボ(3~5人編成のグループ: ベースとドラムがいてピアノやギター、トランペットやサックス奏者がフィーチャーされることが多い)での演奏が多いモダンジャズは音数が少なくてダイナミックレンジ(小さい音から大きい音までのレンジ)も広いのでついつい音量を上げていってしまうもの。そうするとさらに迫力も増して気分もノリノリです。
チキンライスやピラフ、カレーが有名なジャズ喫茶ユリは、みんながそういったメニュー(しかも量が多い)を食べたりおしゃべりしている中、結構なボリュームでモダンジャズが流れています。
流れる音楽は全てアナログのレコードで、ホールのスタッフが次々と盤をひっくり返したり、レコード棚から選んだりしています。キッチンの中では忙しくフライパンが振られどんどん料理が運ばれていきます。
お店の前にはロードレーサーがいつもとまっています。オーナー以下スタッフ全員が自転車乗りなのです。カウンター席では常連の方とジャズやオーディオだけでなく自転車やカメラの話でいつも盛り上がっています。でもそんな知識がなくてもいつでもにこやかに対応してくれるこのお店は、昔勝手に抱いていたジャズ喫茶のイメージとは全く違う、家族や友達にもぜひ行ったもらいたい店です。
いただいた名刺に “Every body likes JAZZ & COFFEE” とありますが、確かにここはジャズを好きになってもらえる空間です。since 1968ということは52年もの間、名古屋の街でこの空間を提供してきたこの店はわが町が誇るJazz Giantです。
個人的には甘いラムチョコケーキ(ちょっとアルコールが残っている)とブラックコーヒーで舌と脳を痺れさせたところに、大きな音のモダンジャズを耳に流し込むのが幸せな時間です。
Text: izuru